今まで当たり前のように行われてきた筋力トレーニングの中でスクワットをするときにこんなことを言われた経験はないだろうか?「つま先より膝を前にださない。」そのやり方で、胸を張って少し後傾になりながら重りを担いで上下動をしていたかと思います。でも実際競技などをしている人を見ると腰にサポーターを巻いてトレーニングをしている姿もある。これは今までの考え方でスクワットをすると腰を痛めるリスクが高いことを示している。実際に後傾の姿勢でトレーニングをすると腰を痛めた人が多いこともわかっている。なぜこの「つま先より膝を前に出さない。」という言葉が出回ったのかというと、誰も研究をしていなかった中で、被験者5名程度にもかかわらず、このスクワットでトレーニングをすると効果が現れるという論文が出回ってしまい、それが噂となって世の中に浸透されたというもので、5名の被験者という情報は世の中の人は知らない情報でもあった。研究者の間ではこのトレーニングはやめたほうが良いと言われるほど疑問に思われていた方法だったが、2019年に被験者の数を増やし、その論文を否定し、新しいフォームでのスクワットが良いという研究者の間でも待ち望んでいたデータが出た。それは、肩に担いでいるバーの位置を変えることであった。横から身体を見たときに足裏の中心(ミッドフット)とバーの位置が垂直に結ばれる位置までしゃがむというものである。バーの位置によって鍛える部位も変わり、使い分けも必要であるが、腰を痛める可能性は減らすことができる。ハイバー(首の付け根辺りにバーを置くこと)とローバー(肩甲骨の所にバーを置くこと)の2種類の方法でトレーニングが可能である。ハイバーによるトレーニングでは膝関節を曲げる力が大きくなり、膝関節を伸ばす大腿四頭筋への負荷を高めることができる。つまり、ハイバーで行われるスクワットは、大腿四頭筋の筋力アップや筋肥大を目的としたトレーニングに有効となる。次にローバーで行われるスクワットであるが、バーとミッドフットを直線で結ばれる位置までしゃがむと前傾をする姿勢となるため、股関節を曲げる力や体幹を使うことになるため大殿筋や背筋の負荷が大きくなる。つまり、ローバーで行われるスクワットは、殿筋や背筋の筋力アップと筋肥大を目的としたトレーニングに有効であるということ。
お勉強タイム⑤【筋力トレーニング(スクワット編)】
